🍀認知症の母【その16】救いの神: 介護施設がもたらす変化

母が認知症になる前から、父は先に介護施設に入っていました。

家を出て一人暮らしをしていた父から「動けなくなったから助けて欲しい」と突然電話が掛かってきました。　住んでいるマンションに駆け付けた時には、腰の激痛で少しも動かす事が出来ず、救急車で病院に搬送して頂く事にしました。

とりあえずは、適切な処置をして頂く事ができ、寝返りをうてるまでにはなりましたが、暫くはこちらの病院で入院する事になるのかなと思いきや、救急病院なため、長期入院はできず転院しなければなりませんでした。

腰の方は大分良くなっていましたが、毎回入院する度に精神が不安定になり為、一過性の認知症の症状が出てしまい、病院内で徘徊をしたり、幻聴・幻覚の症状が出始めるため、脳神経外科の方へ転院する事に致しました。

ところが、無事転院したのも束の間、病院側から「大きな声を出されたり、暴言を吐かれたりするため、他の患者さんが恐がっております。　このまま入院して頂く事は出来兼ねますので、出来ましたら明日にでも退院して頂きたい」と告げられてしまいました。

そこから、慌てて転院先を探し回り、幸い腰の方の問題はなさそうでしたが、まだ精神状態が不安定でしたので、以前の独居生活は出来ない、それならこのまま父の厚生年金で入れるような有料老人ホームの方がいいのではないかと、兄夫婦に相談し施設の方に変更して探し始めました。

とりあえず、何件かは見つかり、体験入居の手続きも終え、帰宅しようと車を走らせていると、まったく気にも留めていなかった実家のすぐ側に、小さな老人ホームがあったんです。

駄目元で訪ねてみました所、快く案内して頂き、お部屋や環境・金額共にすべて好条件で、施設長さんもスタッフの方も優しく接して下さり、願ったり叶ったりで雰囲気も父に合うと確信しました。

後で打ち明けて問題になるとはいけないと思い、徘徊や暴言の事も正直に打ち明けました。「契約書では暴力的になられた時には要相談の形で退所して頂く事もあります」と話され、「それは仕方ない事です」という事で頭を下げてお願い致しました。

これは、是が非でも父に正気になって貰らわねば、、

と次の日、、脳神経外科の退院手続きで待っている時の事です・・
父はひたすら真剣に小説を読んでました、、ところが、何かおかしいと思い、そっと後ろから覗いて見た所、10分経っても次のページに進まないんです。
はぁ～前途多難だわ・・

退院手続きも終わり、施設に着きお部屋に案内され、施設の様子を説明された結果、父も気に入り、旅館のような雰囲気と、何よりロビーのソファでゆっくりと珈琲を戴けるという事でした！　珈琲好きの父にとっては最高な待遇です！　また、今では考えられない事ですが、ロビーで煙草を吸ってもオッケーという事なんです。　この件が一番、父のお気に入りの理由だった思います！

父は入所以降とても穏やかになり、皆さんに新設にして頂き、冗談を言ったりして笑顔が増えていきました。